2年4ヶ月付き合っている彼女のご両親に、初めてお会いした。
結婚を考えているので、いつかはきちんとあいさつをしておきたいと思っていた。
でも、正直に言えば、私の今の状況が少し足枷になっていた。
普通のレールから外れている自分への不安
今年で28歳になるが、私はまだ大学生だ。
起業しようと決意して、自分なりに頑張ってきた。
けれど、なかなか芽が出なかった。
ようやく少しうまくいったと思った事業も、
属人性が高く、スケールさせることはできなかった。
事業売却など考えるまでもなかった。
振り返れば、何もかもが甘かったと思う。
その過程で多少の資産は作ることができた。
ただ、FIREや経済的自由と呼べる水準にはまだ程遠い。
結局、自分はまだ何者かになれたわけではない。
その資金を使って株式投資を始め、今年で3年目になる。
まだまだ新米投資家だ。
世間一般の感覚で見れば、かなり不安定な立場だと思う。
現役で大学に入り、4年で卒業し、
新卒で名前の聞いたことのある企業に就職する。
20代のうちに仕事に慣れ、少しずつ収入を上げ、
結婚や将来設計を考えていく。
それが、多くの人にとって分かりやすく、安心しやすい人生の形だと思う。
その基準で見れば、私はかなり外れている。
28歳でまだ大学生。
事業で大きく成功したわけでもない。
投資で生きていきたいと言っているが、
投資家として確固たる実績を残したわけでもない。
もし自分が親の立場だったら、
そんな成功もしていないアラサー大学生に、
かわいい一人娘を託すのは考えられないだろう。
だからこそ、彼女のご両親が私のこれまでや、
これから考えている人生設計を知ったうえで、
それを否定せずに受け止めてくださったことに、とても驚いた。
不安を抱えながらも、自分の生き方を正直に伝えた
お父様は公務員として働いてこられた方だ。
だからこそ、私は内心、もっと堅実な道を求められる可能性もあると思っていた。
安定したキャッシュフローのある仕事に就き、長く働き、きちんと家庭を支える。
そういう生き方を望まれても、まったく不思議ではない。
それでも私は、自分の考えていることを曖昧にはしたくなかった。
就職はするつもりだが、定年まで長く勤め上げるつもりはないこと。
投資や事業を通じて、自分の力で人生を作っていきたいこと。
一般的な意味での安定とは少し違う道を選ぼうとしていること。
不安に思われても仕方がないと思いながら、
それでも自分の信念として、はっきり伝えた。
すると、否定されるどころか、むしろ「羨ましい」と言ってくださった。
その言葉が、思った以上に自分の中に残った。
もちろん、その言葉に甘えていいわけではない。
むしろ、そう言ってもらえたからこそ、より一層しっかりしなければならないと思った。
ただ、自分の選ぼうとしている道を頭ごなしに否定されなかったことは、素直に嬉しかった。
私は、自分の両親にも本当に感謝している。
私の両親も公務員で、安定した仕事を長く続けてきた人たちだ。
だからこそ、もっと堅実な道を望まれてもおかしくなかったと思う。
けれど実際には、
私が浪人したいと言った時も、
起業したいと言った時も、
投資をしたいと言った時も、
完全には理解できなかった部分はあっただろうが、
最終的にはかなり自由にやらせてくれた。
今になって考えると、これは本当に恵まれていた。
私の周りには、親が公務員の友人が多い。
地域柄もあるのかもしれないが、
その友人たち自身も公務員を目指したり、
実際に公務員になったりする人が多かった。
親の価値観や職業観が、子どもの進路選択に影響するのは、
感覚的にもかなり納得できる。
もちろん、これはあくまで私の周囲を見ての感覚にすぎない。
ただ、公務員という仕事には、
堅実で、実直にタスクをこなせて、
大きなリスクを取りすぎない人が多いという印象がある。
これは公務員という職業を悪く言いたいわけではない。
むしろ、社会を安定して支えるためには、
そういう堅実さや実直さは不可欠な性質だと思っている。
だからこそ、そういう価値観の中で育ちながらも、
私の両親がかなり自由に挑戦させてくれたことは、
今振り返るとかなり特別だったのだと思う。
そして今回、彼女のご両親とお会いして、同じような柔らかさを感じた。
彼女とはマッチングアプリで出会った。
趣味がものすごく合うわけではない。
価値観が最初からすべて一致していたわけでもない。
それでも、一緒にいると不思議と落ち着く感覚があった。
今回、ご両親とお会いして、その理由が少し分かった気がした。
彼女が人に対してやわらかく、まっすぐで、変に人を否定しないのは、
こういうご両親のもとで育ったからなのかもしれない。
ご飯をご馳走になり、とても優しく接していただいた。
最初はかなり緊張していたが、帰る頃には、
次にお会いする時はもう少し自然に話せそうだと思った。
お父様がぽろっと「昼飲みしたい」とおっしゃっていたので、
今度大阪に来られた時には、一緒に昼飲みできたら嬉しいな。
人は、自分の努力だけで人生を作っているように見える。
けれど実際には、周囲の人の価値観にもかなり支えられている。
自分の選択を否定せずに見てくれる人がいるだけで、
不確実な道を歩く心理的コストはかなり下がる。
投資も、事業も、人生も、不確実性の中で選択していくものだ。
もちろん、合理的に考える力は大切だと思う。
けれど同時に、自分の生き方を面白がってくれる人や、
否定せずに見守ってくれる人の存在も、
人生の期待値を大きく変えるのだと思った。
今回の出来事は、派手な成功体験の類ではない。
でも、自分にとってはかなり大きな日だった。
普通じゃない生き方を、否定せずに受け止めてもらえた日。
その感覚を忘れずにいたい。
両親への感謝も、彼女への感謝も、彼女のご両親への感謝も忘れずに、
着実に前に進んでいきたい。



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