増資は悪材料なのか?希薄化と良い増資の見分け方

株式投資

株を持っている会社が「増資します」と発表すると、基本的には身構えます。

正直、ホルダーからすると「うわ、増資か……」という反応になることが多いと思います。

自分が持っている会社の株式数が増える。
つまり、自分が持っている1株あたりの取り分が薄まる。

これは既存株主にとって、基本的にはマイナスです。

逆に、その株を直前に売っていた人や、買おうと思っていたけれどまだ買っていなかった人からすると、反応はまったく違います。

「危ねー、買ってなくてよかった」
「今持ってなくてよかった」

そんな感覚になる人も多いはずです。

それくらい、増資という言葉にはネガティブな印象があります。

では、増資はすべて悪材料なのでしょうか。

僕は、基本的にはマイナスだと思っています。
ただし、すべての増資を一律に悪と見るのも違うと思っています。

大事なのは、増資で調達したお金を何に使うのか。
そして、その資金によって将来の成長をどれだけ前倒しできるのか。

ここを見ないと、良い増資と悪い増資は見分けられないと思います。

増資とは何か。なぜ嫌われるのか。

増資とは、会社が新しく株式を発行して資金を調達することです。
会社から見ると、銀行借入とは違って返済義務のないお金を集めることができます。

一方で、既存株主から見ると話は別です。
新しく株式が発行されるということは、会社全体の株数が増えるということです。

たとえば、かなり単純化するとこうです。

増資前
会社の価値:100
発行済株式数:100株
1株あたりの取り分:1.0

ここで新しく株式を発行します。

増資後
会社の価値:100
発行済株式数:150株
1株あたりの取り分:0.67
既存株主の1株あたりの取り分は薄まる。

もちろん、実際には増資によって会社に現金が入るため、会社全体の価値が単純に同じままというわけではありません。

ただ、既存株主から見ると、新しく株式が発行される以上、自分が持っている1株あたりの取り分は薄まります
これが、増資が嫌われる一番大きな理由です。

これを1株あたりの価値の「希薄化と言います。

株価の上下で自分の持っている株式の価格は毎日のように変動しますが、本質的な「価値」は変わることがありません。
企業が成長する限り、価値は上がり続けていきます。
しかし、増資に限っては、明確に自分の株式の「価値」が薄まるので、
既存株主からするとこれはかなり大きくことなります。

「何で持ってるだけで価値下がんねん、、、」

だから、増資は基本的に歓迎するものではありません。

「成長投資だから大丈夫」と簡単に片付けることはできません。

株式数が増える以上、既存株主の取り分は薄まる。
ここは絶対に軽く見てはいけません。

ただし、良い増資もある。

ただし、増資のすべてが悪いわけではありません。
重要なのは、調達した資金を何に使うのかです。

もし増資で得たお金が、赤字の穴埋めや、仮想通貨を買うなどのよく分からない用途に使われるだけなら、既存株主からするとかなり厳しいです。

これでは、希薄化した株式だけが残ります。

一方で、調達した資金が本業の成長に使われる場合は、精査する余地があります。

本来なら、手元資金だけで数年かけて進めるしかなかった成長投資を、増資によって前倒しできる。
その結果、売上や利益の成長スピードが上がる。
さらに、その利益成長が希薄化を上回り、数年後に利益が50%、100%と伸びていくのであれば、話は変わります。

こういう増資であれば、単なる悪材料ではなく、成長のための資金調達として良い増資と見る余地があります。

その増資によって、会社が何をするのか。
成長をどれだけ前倒しできるのか。
増資以上に、将来の1株あたり利益を増やせるのか。

ここの精査が重要です。

良い増資と悪い増資の見分け方

正直非常に難しいですが、増資を見るときは、少なくとも次の点を確認したいです。

まず、資金使途が明確かどうか

何に使うのかが曖昧な増資は警戒した方がいいと思います。

「成長投資に使います」と言っていても、それがどの事業に、どのタイミングで、どれくらいのリターンを見込んで使われるのかが見えないなら、判断は難しいです。

次に、本業の競争力向上につながるかどうか

本業の成長に直結する投資であれば、増資の意味はあります。

しかし、本業とのつながりが薄い投資や、よく分からない金融資産の購入などに向かう場合は、既存株主にとって納得しにくいです。

そして、希薄化を上回る利益成長が見込めるかどうか

ここが一番重要で判断が難しい部分です。

増資によって株式数が増える以上、その分だけ1株あたり利益には下押し圧力がかかります。

それでも、調達資金によって利益成長が加速し、将来的に1株あたり利益が伸びるなら、その増資は評価できます。

しかし、用途を明確化して、ある程度の利益成長を見込めたとしても、増資以上のEPSの上昇が見込めるのかをしっかりと精査する必要があります。ここが難しい。

グロース企業では、増資が成長のアクセルになることもある

特にグロース企業では、増資が成長のアクセルになることがあります。

成長機会はある。
需要もある。
でも、手元資金だけでは投資スピードが足りない。

こういう会社はあります。

その場合、増資によって資金を調達し、数年後にしかできなかった投資を今やることができれば、成長の角度が変わることが多々あります。

もちろん、これは簡単に判断できる話ではありません。

経営者が本当に高いリターンで資金を使えるのか。
その会社に再投資余地があるのか。
調達した資金が、本当に将来の利益につながるのか。

ここはかなり慎重に見る必要があります。

ただ、増資という言葉だけで反射的に悪材料と決めつけると、良い成長投資まで見落としてしまう可能性があります。

まとめ:増資は基本マイナス。でも、見るべきは資金使途

増資は基本的に既存株主にとってマイナスです。
株式数が増える以上、自分が持っている1株あたりの取り分は薄まります。
だから、増資を無条件に歓迎するべきではありません。

ただし、すべての増資が悪いわけでもありません。

調達した資金を本業の成長に使い、数年後にしかできなかった成長を前倒しできる。
その結果、希薄化を上回る利益成長が実現する。
将来的な1株あたり利益が増えていく。

そういう増資であれば、単なる悪材料ではなく、良い資金調達として見る余地があります。

増資を見るときに大事なのは、増資したかどうかだけではありません。

その資金で何を買ったのか。
会社の成長をどれだけ前倒しできるのか。
将来の1株あたり利益を増やせるのか。

ここまで見て初めて、その増資が悪い増資なのか、良い増資なのかを判断できるのだと思います。

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