KeePerはどうやって全国に広がるのか?出光提携・技術者育成・品質管理の仕組み③

株式投資

前回の記事では、KeePer技研のビジネスモデルについて見てきました。

まだ見ていない方はこちら。

KeePer技研は、直営店で施工して終わりの会社ではありません。

ガソリンスタンドやカーディーラーなどの外部施工店にKeePerが広がる。
そこでKeePerのコーティングが施工される。
施工に使われるコーティング剤、道具、機械類などが販売される。
その結果、高利益率の製品等関連事業が伸びる。

この構造が、KeePer技研の大きな強みでした。

ただ、ここで次の疑問が出てきます。

外部施工店をどんどん増やして、品質は大丈夫なのか?

KeePer LABOのような直営店なら、自社でスタッフを採用し、教育し、店舗を管理できます。

しかし、ガソリンスタンドやカーディーラーなど外部の施工店が増えると、施工する人も、店舗環境も、接客品質もバラバラになりやすいはずです。

同じKeePerという名前でも、施工する場所によって仕上がりに大きな差が出れば、ブランドへの信頼は落ちます。

つまり、KeePer技研の外部施工店モデルは、

「どう広げるか」

だけでなく、

「広げながら、どう品質を守るか」

が非常に重要になります。

今回は、KeePer技研がどのように施工網を広げ、品質を維持しようとしているのかを見ていきます。

直営店だけでは急拡大できない

まず前提として、KeePer LABOは非常に重要です。

KeePer LABOは、KeePer技研が自社で運営する専門店です。

自社で運営するからこそ、施工品質を管理しやすい。
店舗運営のノウハウを蓄積しやすい。
高単価コーティングの提案もしやすい。
ブランドの世界観も作りやすい。

その意味で、KeePer LABOはKeePer技研にとって重要な存在です。

ただし、実店舗ビジネスにはどうしても制約があります。

  • 出店には立地が必須
  • 店舗を作るには初期費用がかかる
  • スタッフを採用し、教育する必要もある
  • 地域で認知され、リピート客が増えるまでに時間がかかる

つまり、KeePer LABOだけで短期間に全国へ広げるには、時間も資金も人材もかなり必要になります。

一方で、ガソリンスタンドやカーディーラーには、すでに車ユーザーとの接点があります。

  • 給油する人
  • 洗車する人
  • 車検や点検を相談する人
  • タイヤやオイル交換をする人

そうした車ユーザーが日常的に訪れる場所にKeePerの施工を乗せることができれば、直営店だけでは届きにくい場所にも広がります。

ここに、外部施工店を活用する意味があります。

  1. 直営店で専門性やノウハウを磨く。
  2. 外部施工店で施工機会を広げる。
  3. 施工が増えることで、製品等関連事業も伸びる。

この組み合わせが、KeePer技研の拡大戦略の面白いところです。

出光興産との提携は、その具体例

この流れを考えるうえで分かりやすい例が、出光興産との提携です。

2024年8月、KeePer技研と出光興産は、新業態のカーコーティング&洗車専門店の全国展開を目指して、戦略的業務提携に合意しました。

出光興産のサービスステーション(以下SS)に併設したり、SSを廃止した後の遊休地を活用したりしながら、新業態の店舗を広げていく計画です。

目標は、

2026年8月までに20店舗。
2030年までに150店舗。

とされています。

ここでも、KeePer技研の特徴が出ています。

KeePer技研は、KeePer LABOの運営ノウハウ、コーティング技術を持っています。
出光興産は、全国のSSの立地や運営ノウハウを持っています。

この2つを組み合わせることで、KeePer技研が単独でゼロから出店するよりも、施工拠点とブランド接点を広げやすくなります。

SS廃止後の遊休地を活用できる点も面白いですね。

ガソリンスタンド業界にとっては、既存の立地や遊休地をどう活かすかが課題になります。
そこに、カーコーティングと洗車の専門店という新しい使い道を作る。

出光興産側にとっては、既存資産を活用した新しいサービスになります。
KeePer技研側にとっては、施工拠点とブランド接点を広げる機会になります。

これも、かなり分かりやすいWin-Winです。

ただし、この提携がどれくらい収益に貢献するかは、今後の出店ペースや店舗ごとの収益性を確認する必要があります。

「出光と組んだから成功確定」という話ではありません。

あくまで、KeePer技研は直営店だけでなく、外部企業との連携によって施工網を広げようとする今後の方針が見える具体例として見るのがよいと思います。

広げるほど、品質管理が重要になる

外部施工店を広げることには大きなメリットがあります。

ただし、リスクもあります。

一番大きいのは、施工品質です。

同じKeePerという名前でも、施工する場所によって仕上がりが大きく違えば、ブランドへの信頼は落ちます。

お客さんからすれば、KeePer LABOであっても、ガソリンスタンドであっても、同じKeePerです。

「KeePerを施工したけど、思ったほどきれいにならなかった」
「店舗によって仕上がりが全然違った」
「スタッフの説明が不十分だった」

こうした体験が増えると、KeePerというブランドそのものに傷がつきます。

これは外部施工店モデルの弱点です。

広げれば広げるほど、ブランド接点は増えます。
しかし同時に、品質のバラつきリスクも増えます。

だからこそ、施工網の拡大と品質管理はセットで考える必要があります。

外部施工店を増やすだけなら、短期的には広がるかもしれません。
しかし、施工品質がバラつけば、長期的にはブランドを毀損します。

KeePer技研のビジネスモデルが強くなるためには、

  1. 施工店を増やす。
  2. 製品販売を伸ばす。
  3. ブランド接点を増やす。
  4. その一方で、施工品質を維持する。

この4つを同時に成立させる必要があります。

品質を支える仕組みとして、技術研修がある

では、KeePer技研はどのように品質を保とうとしているのでしょうか。

ここで重要になるのが、技術研修です。

KeePer技研は、全国各地の施工店のコーティング技術を高めるために、施工技術を学ぶスクールや研修を用意しています。

外部施工店のスタッフが、KeePerのコーティングを正しく施工できるようにする。
施工方法を学び、技術を身につける。
一定の技術水準を満たした施工者を増やしていく。

この仕組みがあるからこそ、外部施工店を広げることができます。

もし、KeePerという名前だけ貸して、施工技術は各店舗任せだったらどうなるでしょうか。

店舗によって仕上がりがバラバラになる。
お客さんの満足度もバラつく。
悪い体験がSNSや口コミで広がる。
結果として、KeePerブランド全体の信頼が落ちる。

そうなれば、せっかく外部施工店を増やしても逆効果です。

だから、外部施工網を広げるには、技術者を育てる仕組みが欠かせません。

技術コンテストは、施工者のモチベーションにもなる

さらに面白いのが、技術コンテストです。

KeePer技研は、施工者の技術向上を目的として、キーパー技術コンテストを開催しています。

これは単なるイベントではありません。

全国の施工者が技術を競う場を作ることで、施工技術の向上につながります。
施工者にとっても、自分の技術を磨く動機になります。
店舗側にとっても、技術力をアピールする材料になります。

外部施工店モデルでは、現場の施工者の技術が非常に重要です。

どれだけ良いコーティング剤があっても、施工する人の技術が低ければ、お客さんの満足度は下がります。

逆に、施工者の技術が高く、説明も丁寧で、仕上がりも良ければ、KeePerに対する信頼は高まります。

つまり、技術コンテストは単なる社内イベントではなく、外部施工網全体の品質を底上げするための仕組みとして見ることができます。

自社の社員だけではなく、全国の施工関係者の技術力とモチベーションを上げようとしている。

ここは、KeePer技研のビジネスモデルを理解するうえでかなり重要だと思います。

「広げる仕組み」と「守る仕組み」がセットになっている

ここまで見てくると、KeePer技研の外部施工店モデルは、ただ販売先を増やすだけの話ではないと分かります。

ガソリンスタンドやカーディーラーに広げる。
出光興産のような大手企業とも提携する。
既存の車ユーザー接点を活用する。
外部施工店でKeePer製品を使ってもらう。
一方で、研修やコンテストを通じて施工品質を維持する。

つまり、KeePer技研は、「広げる仕組み」と「品質を守る仕組み」をセットで作ろうとしている会社だと言えます。

決算数字でKeePer技研を見る

今回の記事では、KeePer技研がどのように外部施工網を広げ、品質を維持しようとしているのかを見てきました。

直営店だけで全国に広げるのではなく、ガソリンスタンドやカーディーラーなど既存の車ユーザー接点を活用する。
出光興産との提携によって、施工拠点をさらに広げようとしている。
その一方で、研修や技術コンテストによって、施工品質を維持しようとしている。

この構造があるからこそ、KeePer技研は単なる直営店ビジネスではなく、外部施工網を活用したビジネスとして見る必要があります。

では、このビジネスモデルは実際の決算数字にどう表れているのでしょうか。

次の記事では、KeePer技研を見るうえで重要な数字を整理していきます。

  • 店舗数
  • 来店台数
  • 客単価
  • 施工台数
  • 製品等関連事業の売上
  • LABO事業と製品等関連事業の利益構造

どの数字を見れば、KeePer技研の成長余地やリスクが見えてくるのか。

次回は、決算数字からKeePer技研を見ていきます。

1本目がまだの方はこちら。

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