前回の記事では、KeePer技研がただの洗車屋ではなく、カーコーティングを中心にした会社だと整理しました。
洗車は、汚れた車をきれいにするサービス。
カーコーティングは、車を汚れにくくし、きれいな状態を保ちやすくするサービス。
ここまでは、比較的わかりやすい話です。
ただ、KeePer技研を調べていると、もう一つ気になることがあります。
なぜ、KeePerはガソリンスタンドでもよく見かけるのでしょうか。
KeePer LABOという専門店があるなら、自社店舗を増やしていけばよさそうです。
それなのに、ガソリンスタンドにもKeePerの看板があり、KeePer PROSHOPという形で全国に広がっています。
ここに、KeePer技研のビジネスモデルの面白さがあります。
結論から言うと、KeePer技研は、施工そのものだけで稼ぐ会社ではありません。
施工に使われるコーティング剤、道具、機械類などでも稼ぐ会社です。
そして、この「KeePer製品等関連事業」の利益率がかなり高い。
だからこそ、ガソリンスタンドやカーディーラーなど、外部の施工店にKeePerが広がることには大きな意味があります。
利益率を見ると、製品等関連事業の強さが分かる
まず、事業ごとの数字を見てみます。
2026年6月期第3四半期累計では、KeePer LABO運営事業の売上高は100億26百万円、セグメント利益は11億22百万円でした。
一方、KeePer製品等関連事業の売上高は82億27百万円、セグメント利益は31億56百万円でした。
単純に利益率を計算すると、かなり差があります。
| 事業 | 売上高 | セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| KeePer LABO運営事業 | 100.26億円 | 11.22億円 | 約11.2% |
| KeePer製品等関連事業 | 82.27億円 | 31.56億円 | 約38.4% |
売上高だけを見ると、KeePer LABO運営事業の方が大きいです。
しかし、利益で見ると逆です。
KeePer製品等関連事業は、売上高ではLABO運営事業より小さいにもかかわらず、セグメント利益では約3倍近い利益を稼いでいます。
恐ろしい利益率、、、
ここを見たときに、私はKeePer技研の見方がかなり変わりました。
ただの店舗ビジネスではない。
直営店を増やして施工しているだけの会社ではない。
外部施工店で使われる製品が伸びることで、かなり効率よく利益を稼げる構造になっている。
そう見えてきました。
なぜ、ここまで利益率に差があるのか
KeePer LABOは、店舗型ビジネスです。
店舗を構え、人を採用し、教育し、設備を整え、スタッフが実際に施工します。
売上は大きくなりやすい一方で、人件費、家賃、設備、出店費用、教育費などもかかります。
一方で、KeePer製品等関連事業は、ガソリンスタンドやカーディーラーなどの外部施工店に対して、コーティング剤、道具、機械類などを販売する事業です。
つまり、KeePerの施工が外部店舗で増えれば増えるほど、そこで使われる専用製品の需要も増えていきます。
外部施工店でKeePerのコーティングが施工される。
そのたびに、KeePerのコーティング剤や道具が使われる。
その結果、利益率の高い製品等関連事業が伸びる。
この構造がかなり強いです。
もちろん、製品等関連事業の高利益率をコーティング剤だけで説明し切ることはできません。
ただ、KeePer技研が独自のケミカル製品を持っていることは重要です。
自社開発のケミカルに加え、ドイツのカーケミカルメーカーであるSONAX社との共同開発製品も展開しています。
つまり、外部施工店がただ自由に市販品を使っているわけではありません。
KeePerのブランドで施工する以上、KeePerの施工に必要な製品が使われる。
その製品の販売が、KeePer技研の収益につながる。
ここに、外部施工店モデルの面白さがあります。
外部施工店は、KeePerにとって販売先でもある
ガソリンスタンドは、KeePer技研にとって単なる施工場所ではありません。
KeePer製品を使ってくれる販売先でもあります。
KeePerの名前を街中に広げてくれる広告塔でもあります。
車ユーザーとの接点を持つ施工網でもあります。
ここがかなり重要です。
もしKeePer技研が直営店だけで成長しようとすれば、店舗を出すたびに土地、建物、人材、設備、教育が必要になります。
もちろん、KeePer LABOは重要です。
自社で運営するからこそ、施工品質や店舗運営のノウハウを蓄積できます。
高単価コーティングの提案もしやすいでしょう。
ブランドの世界観も作りやすいです。
ただ、直営店だけで全国すべての車ユーザーに届くのは簡単ではありません。
一方で、ガソリンスタンドやカーディーラーには、すでに車ユーザーとの接点があります。
給油する。
洗車する。
車検や点検の相談をする。
タイヤやオイル交換をする。
車に関する接点がすでにある場所です。
そこにKeePerの施工を乗せることができれば、直営店だけでは届きにくい場所にも広がります。
ガソリンスタンド側にもメリットがある
このモデルは、ガソリンスタンド側にとっても意味があります。
ガソリンスタンドは、燃料を売るだけで利益を伸ばし続けるのが簡単ではありません。
低燃費車の普及。
競合との価格競争。
燃料販売だけに依存しにくい環境。
こうした中で、ガソリンスタンド側にとっては「燃料以外でどう稼ぐか」が重要になります。
そこで、洗車やカーコーティングが出てきます。
ガソリンスタンドには、車に乗る人が来ます。
つまり、KeePerのようなカーコーティングを提案しやすい顧客接点がすでにあります。
その場所でKeePerのコーティングを提案できれば、燃料以外の収益源になります。
スタッフが技術を身につければ、単なる物販ではなく、高付加価値なサービスとして提供できます。
ガソリンスタンド側からすると、燃料以外の収益を作るうえで、かなり有力な選択肢になり得るわけです。
一方で、KeePer技研にとってもメリットがあります。
ガソリンスタンドにKeePerの看板が増える。
街中でKeePerという名前を見る機会が増える。
施工が増える。
コーティング剤や道具の消費が増える。
製品等関連事業が伸びる。
この関係はかなり分かりやすいWin-Winです。
ガソリンスタンド側は、燃料以外の売上を作れる。
KeePer技研側は、施工網と製品販売の機会を広げられる。
だから、KeePerがガソリンスタンドにも広がっていることには、単なる宣伝以上の意味があります。
直営店だけではなく、外部施工店があるから強い
ここまで見ると、KeePer技研のビジネスモデルはかなり面白く見えてきます。
KeePer LABOで自社運営の専門店を展開する。
一方で、ガソリンスタンドやカーディーラーなど外部施工店にも広げる。
外部施工店で施工が増えると、KeePerの製品が使われる。
その結果、高利益率の製品等関連事業が伸びる。
つまり、KeePer技研は、単に直営店を増やしている会社ではありません。
直営店でブランドやノウハウを磨きながら、外部施工店を通じて施工網を広げ、そこで使われる製品でも利益を上げる会社です。
この構造が分かると、ガソリンスタンドで見かけるKeePerの意味が変わります。
あれは、ただの看板ではありません。
KeePer技研にとって、施工網であり、ブランド接点であり、高利益率の製品等関連事業を伸ばす入口でもあります。
ただし、外部施工店が増えればそれで終わりではない
もちろん、外部施工店を増やせば何でもうまくいくわけではありません。
むしろ、外部施工店が増えるほど、別の問題が出てきます。
それが、施工品質です。
同じKeePerという名前でも、施工する場所によって仕上がりが大きく違えば、ブランドへの信頼は落ちます。
お客さんからすれば、KeePer LABOであっても、ガソリンスタンドであっても、同じKeePerです。
だからこそ、外部施工店を広げるには、品質を維持する仕組みが必要になります。
では、KeePer技研はどのように外部施工網を広げ、品質を保とうとしているのか。
次の記事では、出光興産との提携、技術者育成、研修制度、技術コンテストなどを通じて、KeePerがどのように全国へ広がろうとしているのかを見ていきます。
1本目がまだの方はこちら。





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